平成20年度
小麦作柄調査の概要と今後の技術対策について

小麦作柄調査検討会 座長 柳沢 朗

社団法人北海道米麦改良協会

社団法人北海道米麦改良協会

平成20年6月18日(水)〜20日(金)の3日間の日程で「小麦作柄現地調査」を行った。参加者は農林水産省北海道農政事務所、北海道農政部、北海道立農業試験場、ホクレン農業協同組合連合会、北海道農産物集荷協同組合、北海道米麦改良協会等の関係機関から延べ29名であった。各現地においてはどの地区においてもJA及び農業改良普及センターの関係者の皆様に出席いただき、生育状況および圃場の説明をいただいた。

清里町「きたほなみ」栽培試験圃場の写真 清里町「きたほなみ」栽培試験圃場

調査箇所は12カ所であった。一般生産者圃場として、JA帯広大正の代表農家の圃場(ホクシン)、十勝清水町山本正次氏(ホクシン)、清里町柳谷克彦氏(きたほなみ栽培法試験)、小清水町吉田正貴氏(ホクシン採種、きたほなみ製粉適性品質評価事業)、大空町関勝美氏(きたほなみ栽培法試験)、美瑛町太田満氏(春よ恋)美瑛町栢木敏夫氏(ホクシン)、江別市森敏信氏(ハルユタカ初冬まき栽培)、岩見沢市佐々木利夫氏(転換畑ホクシン)の9箇所を視察した。また、北見農試、上川農試及び中央農試において品種育成や栽培法試験の圃場を視察した。

上川農試/春まき小麦奨決試験圃場の写真 上川農試/春まき小麦奨決試験圃場

秋まき小麦の生育経過について概括すると、越冬前の生育は全道的に平年に比べ草丈、茎数ともにやや小さかった。融雪は4月初めに降雪のあった網走地方の一部を除き、いずれの地区とも平年よりかなり早く、全道的に雪腐病の発生及び被害は少なかった。起生期もかなり早く、4月の気温も各地区とも高く推移し、そのため起生期以降の生育は進み、幼穂形成期は網走では2日早い程度だったが、全道平均では7日早かった。その後、5月中旬以降は低温となり、生育はゆっくり進んだため、出穂期では全道平均で平年より2日早い程度に留まっている。生育はほぼ平年並みである。春まき小麦は、播種が早く、その後も順調に経過しており、地域によって多少の差はあるが生育は良好である。また、初冬播き栽培についても、播種作業は順調で、春以降の生育も良好であった。以上のように、小麦全般、生育は良好な状態と判断された。ただし、網走地区を中心に6月11日に降雹があり、一部地域においては小麦もかなりの被害があった。

なお、調査した圃場はいずれも優秀な生産者の圃場が中心であり、素晴らしい小麦の生育状況であった。基本技術はもちろんのこと、土作りや排水対策についても積極的に取り組まれており、適切な施肥、防除の徹底も行われていた。また、各地区とも収量だけでなく、良質小麦生産に対する意識も高いところが多く、輪作体系を基本に、適切な施肥管理で基準値内の蛋白量を確保することに心がけていた。

小清水町吉田氏の圃場:左「ホクシン」採種圃、右「きたほなみ」製粉適性圃の写真 小清水町吉田氏の圃場:
左「ホクシン」採種圃、右「きたほなみ」
製粉適性圃

地域別には、網走地域が比較的低温のなかで秋まき小麦はこれから開花の状態であったが、他の地区は開花も終わっているところが多く、2度目の赤かび病防除を終了したところもあった。作業的にも順調に進んでいる。

各農試の試験ほ場では有望系統の立毛検討の視察を行った。「きたほなみ」「はるきらり」をはじめ新しい系統にも注目される材料があり、今後の成果に期待された。





中央農試での検討会の写真 中央農試での検討会

検討会では、ほ場調査を含めた各地の生育状況のまとめを行い、また、各地域における技術的取り組みについて論議した。参加者からは、今年度は視察した圃場以外でも全道的に小麦の生育が揃っており、技術的な向上が図られている、今後とも収量及び品質の安定化が望まれるとの意見があった。当面の技術的対策については気象経過に留意する必要があるが、以下のような取り組みが必要であるとの指摘がなされた。

【これからの技術対策】

  • 農薬の使用に当たっては「防除ガイド」を遵守する。赤かび病は、出穂期以降の降雨や霧などの多湿条件で発生するので、状況に注意して適期防除を励行する。
  • 収穫機械及び乾燥施設の点検・整備を早めに行い、各ほ場の成熟予測と子実水分低下の状況を把握し、効率の良い収穫と乾燥調整に努める。
  • 倒伏した小麦や赤かび病、穂発芽等が発生した小麦は、別刈り、別乾燥として健全な小麦に混入させない。また、生育の揃っていないほ場については部分刈りを行う。
  • 刈り取り時期に長雨が予想される場合は、子実水分31〜35%の高水分収穫を行い、乾燥に当たっては、退色粒にならないよう乾燥温度に気をつける。
  • 収穫能力より乾燥能力が下回る場合は、子実水分が18%以下に減少したら一時貯留を行い、二段乾燥で乾燥施設の効率化と高品質化を図る。また、一時貯留時は、品質の低下をきたさないよう十分留意し、乾燥機が空き次第速やかに仕上げ乾燥を行う。
  • 降雹、大雨に対する営農対策としては、茎葉や穂の損傷が激しい圃場を中心に、病害の発生に注意するとともに、生育ムラによる収穫への影響にも注意する。
  • 収穫前に雑草の抜き取りを行う。とくに「そば」の野良生えがある場合は、抜き取りを徹底する。